○HICAP(ハイキャップ)方式 …… NTTドコモ、IDOが採用

正式にはNTT大容量方式という。大容量=ハイキャパシティ=ハイキャップというわけだ。
ドコモ社内ではもっぱら正式名称で、IDOではHICAPと呼んでいる。さすがにIDOが「NTT」
と名前のついた方式で呼ぶわけにはいかないのであろう。
もちろんアナログ方式で、世界初のセルラー方式自動車電話サービスのために開発された。
名前の通りNTT(当時は電電公社)が開発した方式で、ドコモ・IDOが採用しているが、既
にカタログには載っていない。両社共に新規加入を止め、早期の廃止(ドコモは98年度内)
を決定している。周波数は800MHz。

 ○TACS(タックス)方式 …… IDO、DDI-セルラーが採用

米国で開発されたアナログ携帯電話の一方式。最初はDDI-セルラーだけが採用していたが、
後に米の政治的圧力によりIDOも採用、IDOとDDI-セルラーのローミングが可能となった。
98年度からcdmaOneの導入と引き替えに、段階的に廃止される。周波数は800MHz。

 ○800MHzPDC(ピーディーシー) …… NTTドコモ、IDO、DDI-セルラーが採用

1.5GHzよりも波長が長いので電波が障害物に邪魔されにくく、ビルの影や中でも通話でき
る。しかし回線が満杯状態でつながりにくいという欠点もある。(特にドコモ)
データ通信速度は最大9600bps。

ちなみにPDCとはパーソナル・デジタル・セルラーの略で、NTTドコモ(当時NTT)が開発
した。全てのキャリアで使っているのは、郵政省が日本国内ではデジタル携帯電話を1方
式に統一しようとたくらんだため。

この方式にはさらに細かく分けると「フルレート」と「ハーフレート」がある。ハーフレ
ートというのは電波が足りなくなってきたために開発された技術で、フルレートよりも音
声の圧縮率を上げ、同じだけの電波で2倍の人数が話せるようにしたものだが、圧縮率を
上げたために音質は悪化している。ドコモの101シリーズ以降の機種は100%がこのハー
フレート機であるため、「昔の方が音がいい」と言われることが多い。
ちなみに、データ通信時は自動的にフルレートになる(ハーフレートでは9600bpsを確
保できないため)。

 ○1.5GHzPDC …… NTTドコモ、ツーカー、デジタルホン、デジタルツーカーが採用

800MHzが満杯になったため割り当てられた周波数帯。800MHzに比べれば高音質だが、
波長が短いためビルなど障害物に弱く、ビル内などでは通話できないことがある。
800MHz同様、フルレートとハーフレートがあるが、こちらは多少余裕があるためにフル
レートもまだまだ残っている。そのために余計「音がいい」と言われる(デジタルホンは
ハーフレート設備を現時点ではほとんどフルレートで運用している)。
データ通信速度は800MHzPDCと同じ9600bps。

 ○PDC-P(ピーディーシーピー) …… NTTドコモが採用

PDCパケットの略で、PDCのフルレート回線(9600bps)を3本まとめて最大28,800bps
を出す方式。複数人数が同時に使えるパケット通信で速度保証はないが、そのかわり送受
信したデータ量に合わせた料金計算がされるので、安くインターネットなどにつなぎっぱ
なしにできるメリットがある。特にテキストメールなど、少量のデータを頻繁にやり取り
するには最適。
名前から分かるようにPDCの発展技術ではあるが、パケット交換と回線交換(通常の通話、
データ通信)とは違うために別の装置も設置しなければならずコストがかかる。そのため
導入はドコモ800MHzPDCのみ、しかも関東など一部地域を除けば都市部のみにとどまっ
ている。
パケット通信なので、当然、コンピュータを使ったデータ通信にしか利用できない。
ついでに最低速度保証もない。パケット対応電話機と対応データカードが必要。

 ○cdmaOne …… IDO、DDI-セルラーが採用

PDCではドコモの後塵を拝してきたIDOとDDI-セルラーが巻き返しを計るため、98年7月
から99年4月にかけて導入する予定の方式。米クアルコム社が開発し、現在は世界数カ国
で使われている。音声圧縮に最新の方式を取り入れたため、PDCよりもいい、固定電話と
同等の音質が得られる(というのがキャリアの主張)。
TACSで使っている周波数帯をこれに転用するため、段階的にTACSを廃止していく方針。
cdmaOneの導入が各社同時ではないため、全国で使えるようにと導入初期はTACSとcdmaOne
の共用(デュアルモード)端末を投入する。cdmaOneのサービスエリアではcdmaOne、
それ以外のエリアではTACSと自動的に切り替えられ、ユーザーは特に意識する必要はない
(らしい)。
回線交換で14.4Kbps、パケット交換で下り方向のみ64Kbpsを実現する予定という。

 ○W-CDMA …… NTTドコモ、ツーカー、デジタルホンが採用予定

クアルコム社が開発したCDMA携帯電話技術を基礎に、NTTドコモ主導で開発された方式。
PDCが日本しか導入されなかった(タイも導入したが、これは手を加えずにタイで空いて
いる周波数で使える携帯電話システムが1.5GHzPDCしかなかったため)ことの反省から、
欧米のノキア、エリクソン、ルーセント・テクノロジーといった有名通信機メーカーを開
発段階から参加させ、世界標準規格にすることを狙っている。
移動中でも384Kbps、静止時には2Mbpsを出せる予定で、2001年にはドコモが世界に
先駆けてサービスを開始する計画。




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